弁護士から就活で質問されたとき 対応方法と回答例11問

就活では弁護士から質問をされることが少なくありません。司法修習生の中には弁護士から質問をされると緊張する方も少なくないようです。

 

弁護士が就活で質問をするときは必ず何かしらの「意図」や質問の「趣旨」があります。就活中の司法修習生の考え方や対応を弁護士は見ています。

逆に言うと、就活で質問をされたとしても弁護士の意図や趣旨を理解していれば怖くありません。

 

私たちは、弁護士事務所設立から約3年間、就活中の司法修習生と多数お話をしてきました。正直、弁護士の質問を適切に理解して対応できる司法修習生は多くありません。

 

そこで、本記事では就活中の司法修習生向けに、弁護士から就活で質問をされたときの対応方法と回答例を説明します。本記事が就活のお役に立てますと幸いです。

 

1.      弁護士業務に関する質問

 

1.-(1)  弁護士を目指した理由

 

(趣旨)

誰もが回答を考えている簡単な質問で緊張をほぐす

(回答例)

とくになし

 

弁護士になった理由を質問する場合は、とくに何も考えていません。

単に大企業で働きたくないから、お金が稼げそうだから、何となくかっこ良さそうだからと考えて弁護士を目指した方も多いと思います。

立派な理由がなくても素直に弁護士を目指した理由を回答して良いと思います。

 

(参考)サマクラで弁護士を目指した理由について「働きたくなかった」などと回答した事例

 

1.-(2)  当事務所を志望した理由

 

(趣旨)

入所を希望する理由を聞くことによりカルチャーマッチしているかを確認する。また、取扱分野や人数構成など弁護士事務所のことを誤解していないかチェックする。

(回答例)

事前に就活対象の弁護士事務所のホームページやブログを確認して回答をする

 

弁護士事務所に応募した理由は最も重要な質問であるため準備をして臨みましょう。ホームページやブログをきちんと確認して、事務所の沿革・事務所理念・取扱分野や人数構成比を把握しておくことが重要です。

 

また、就活では自己分析を行って事務所選びの基準を考えることが重要です。この評価軸と応募先の弁護士事務所がどのように関連しているのかを伝えられると理想的な回答となります。

(参考)司法試験直後に読むべき司法修習生が効率良く就職活動するやり方 6つのSTEP

 

 

1.-(3)  どのような案件に興味があるかを教えてください

 

(趣旨)

l  事務所の取扱分野を正確に理解しているかや、将来どのような弁護士になりたいかを確認する。

l  実務に出ていない段階なのに確信をもって断言するタイプは思い込みが激しいことが分かる場合がある

(回答例)

l  私は一般民事や企業法務など様々な案件に挑戦したいと考えています。実務で現実に案件を取り扱って中で将来的には専門分野を作りたいと考えています。

l  私はベンチャー企業法務に興味があります。ロースクールの実務家教員に~という話を聞いて興味を抱いたからです。もっとも、実務に出ていない段階ではどのような案件が自分に向いているか分からないので、最初のうちは様々な案件に挑戦したいと考えています。

 

就活で興味がある案件を聞かれたときは、弁護士は案件の理解や法律知識を試す意図はありません。逆に、当該案件に関して理解や知識があることをアピールすることは就活では減点評価を受ける可能性があります。

 

なぜなら、就活中の司法修習生は実務家弁護士に比べて案件の理解・知識が劣っています。下手に理解・知識をアピールすると、「勘違いをしている」、「マウンティングしている」と捉えられるおそれがあります。

 

就活段階では実務のことは分かっていない、また興味がある案件が自分に向いているか分からないことを前提として回答するようにしましょう。

 

注意

企業法務をやりたいと回答する司法修習生は少なくありません。就活中に企業法務の具体的内容をイメージすることを求めるのは酷かもしれません。

しかし、「企業法務」は広すぎる概念です。一般民事案件と違って身近でなく、やりがいも分かりづらいため、本当に考えているのか面接担当弁護士は不安に思います。

少なくとも「企業法務」は債権回収や中小企業紛争とM&A/知財などは全く顧客やスキルが異なることなどは意識して慎重に回答する意識を就活では持ってください。

 

1.-(4)  将来はどんな弁護士になりたいですか?

 

(趣旨)

l  弁護士としてスぺシャリスト志向 or ジェネラリスト志向なのか?

l  経営に参画したい or 独立したい

l  価値観の基準(自由にやりたい、お金を稼ぎたい、自分のスキルを高めたい、部下を指導・育成したいなど)を確認する

(回答例)

質問が多義的なので趣旨を確認した方が良い。弁護士のスキルの話なのか、弁護士事務所内部の話なのかなど

 

将来はどんな弁護士になりたいかは就活中の司法修習生の本質を浮き彫りにする質問です。もっとも、将来像はさほどズレることがないはずなので率直に回答せざるを得ません。

 

なお、全国展開を目指している弁護士事務所は就活生が支店長候補を希望するかや、長く働いて貰いたい弁護士事務所は転職リスク・独立リスクを確認します。

もし支店長候補も興味がある、又は長く働くことを考えているなら、そのことをアピールすることは就活では効果的です。

 

2.      自己PRに関する質問

 

2.-(1)  あなたの長所や短所を教えてください

 

(趣旨)

l  どのような性格・人柄なのかを知りたい

l  具体的なエピソードを語れるかによって法的素養や営業力も分かる。事実+評価を上手く使って回答することが重要

(回答例)

私の長所はコミュニケーション能力です。例えば、大学時代に、~という部活において部長を行いました。しかし、4年次に~という問題が起こりましたが、私は部員一人一人ときちんとコミュニケーションを取って解決したことがあります。

 

就活で長所・短所は定番の質問です。長所・短所は回答内容自体から性格・人柄を推し測り、当該弁護士事務所にカルチャーマッチするかを判断することができます。

例えば、新たに設立されて急成長を目指す弁護士事務所への就活で、何事も確認して慎重に進めて行く点が長所と言われると大丈夫かな?と思われるでしょう。

 

また、長所・短所の回答から法的素養や営業力も推測できます。弁護士事務所の就活で法的素養が重要なことはもちろんですし、弁護士増員で競争が激しくなっている現状では営業力があることは就活の加点要素です。

 

法的素養に関しては、以下の点を意識してください。事実+評価によって説得することは司法修習生ならご存知のはずですので、あえて説明しません。しかし、これは起案のみならず、就活でも非常に重要です。

  • 端的に結論を示す
  • 事実+評価の構成で理由を説明する

 

営業力という意味では、就活は要するに弁護士事務所に自分を売ることです。面接担当弁護士が「あなたを欲しい」と思わせることはまさしく営業力です。

就活中の長所・短所の伝え方で営業力を推測する面接担当弁護士も存在する点は頭の片隅に置いて良いかもしれません。

 

2.-(2)  簡単に自己PRをしてください。

 

(趣旨)

l  どのような性格・人柄なのかを知りたい

l  長所・短所と比較して、質問対象が広い+回答に戸惑う質問を投げることで、とっさの対応力を見抜く

(回答例)

自己PRとして私の長所を述べさせていただきます。その後は同上。

 

就活では質問が重要ですが、弁護士になってからも質問力は重要です(質問力に関する書籍などを読んでみてください。)。

長所を聞くのと自己PRを聞くのはほとんど同じ回答になるはずですが、「長所を教えてください」と「自己PRしてください」では面接担当弁護士の意図が異なる場合があります。

 

就活中は、あえて分かりにくい質問をすることで就活している司法修習生の理解力、コミュニケーション能力、積極性などを試すという考え方があることにご注意ください。

 

MEMO:長所・短所と自己PRの違い

基本的には長所・短所と自己PRは回答する事項は同じだと思います。他方で、質問の仕方が異なるのは意図が違うためです。

面接時間が限られていればより端的に答えがえられる長所・短所を聞きますし、コミュニケーション能力、対応力やプレゼン力をじっくり見たいのであれば「自己PRを話してください」という聞き方をするでしょう。

 

2.-(3)  これまでの挫折や大きな失敗をした経験を教えてください

 

(趣旨)

チャレンジ精神がある人材か、安いプライドがないかを確かめる

(回答例)

私は、大学時代に~という失敗経験があります。~を目指して~にチャレンジしたのですが、残念ながら~という結果に終わりました。

 

成長志向がある弁護士事務所では挫折経験や失敗経験を就活中に問われる可能性があります。なぜなら、急成長をするためにはリスクを恐れずチャレンジすることが必要だからです。

 

挫折経験や失敗経験がないことを安心できる人材だと捉えるか、チャレンジ精神がない人材だと捉えるかは弁護士事務所の文化・雰囲気・価値観によって異なります。就活中の弁護士事務所がどのような傾向なのかは意識して回答した方が良いでしょう。

 

また、挫折経験や失敗経験には価値があるものと価値がないものがあります。本気でやった場合の失敗には価値があります(宇宙兄弟参照)。

逆に何もチャレンジしていない、又は何も考えないで失敗した経験は就活中にアピールする内容ではありません。

 

就活中に挫折経験や失敗経験を問われたときは、「自分の実力を上回るチャレンジをしたのか?」を質問されていると考えましょう。

なお、もし本当に挫折経験や失敗経験がないときは、「挫折経験や失敗経験はないものの常にチャレンジして来たので、過去にどのようなチャレンジをしたかをお伝えして良いですか?」と伝えることなどが考えられます。

 

2.-(4)  過去の仕事経験や仕事に対する考え方を教えてください

 

(趣旨)

l  アルバイトを含む仕事を経験したことの有無を確認する

l  弁護士になって仕事を行う意識があるか、仕事を進める上で重要な点を理解しているかを確認する

(回答例)

私は、これまで~という仕事を経験しました。仕事を通じて得たものは、仕事を進める上では~が重要だという点です。例えば、~をしていたときに~ということがあり、~が重要であることを学びました。

 

仕事経験や仕事に対する考え方は、少なくとも司法修習生の就活においてはスキルを見ているものではありません。なぜなら司法修習生の就活はポテンシャル採用であり、弁護士として直ちに役立つスキルが求められているわけではないからです。

(参考)採用目線で考える司法修習生の弁護士事務所選び

 

重要な点は、仕事に従事した経験があるか、仕事を進める上で重要な点を理解しているか、きちんと考えながら仕事に取り組んでいたかなどです。

いわゆる、きれいな経歴(大学→ロースクールや大学在学中の予備試験)であればアルバイト経験やサークル経験だけかもしれません。このような場合は、与えられた役割について話せば良いと思います。

 

2.-(5)  集団における役割・立ち位置を教えてください

 

(趣旨)

弁護士事務所の組織内でどのような貢献ができるのかを確かめたい

(回答例)

私は、集団において積極性・自主性を発揮するタイプです。例えば、ロースクール時代の自主ゼミにおいて~ということがありましたが、私は自主ゼミのメンバーに~と提案をして問題を解決しました

 

弁護士事務所の就活は、就職がゴールではなく、入所後に弁護士事務所内で活躍することです。弁護士として個人的に成長することも重要ですが、弁護士事務所の組織においてどのような活躍ができるかも就活でアピールする必要があります。

 

とくに、伝統があり組織が確立された弁護士事務所ほど集団内・組織内での役割を選考要素として重視する傾向があるように思われます。

組織論を考えることは経営者目線を身につけることにも繋がります。もし、このような弁護士事務所をメインに就活するなら企業と組織は様々な書籍で解説されているので勉強をして考えておくことをおすすめします。

 

3.      弁護士事務所の就活に関する質問

 

3.-(1)  現在、他にどのような弁護士事務所に就活していますか

 

(趣旨)

l  弁護士事務所選びの基準を確かめたい、他の回答と就活の進め方が合致しているかを確かめたい

l  就活の進捗状況を知りたい

(回答例)

私は、現在~社に応募し、うち~社については面接を行っていますが、現在内定はありません。例えば、~法律事務所など、~という特徴がある弁護士事務所を中心に就活しています。

 

面接担当弁護士は就活だけでなく、内定を出して無事に入所してくれるか、入所後に活躍してくれるかを考えています。

就活における弁護士事務所選びの基準は何とでも言えますが、具体的にどの弁護士事務所を中心に就活をしているかは如実に就活に対する考え方を表します。

 

面接を通じて回答した将来の弁護士像や事務所選びのポイントと、現在の就活状況が合致しているかを確認する質問です。

なお、就活状況は、書類選考→面接→内定という流れがあります。従って、就活の進捗状況を聞かれた場合はこの流れに沿って情報整理をして説明できれば説明能力が高いという評価を得られる可能性があります(できていない司法修習生が多い)。

 

3.-(2)  これだけは譲れない事務所選びのポイントは何ですか?

 

(趣旨)

l  最終的に複数内定が出た場合に自分たちの弁護士事務所が選ばれるかを知りたい

l  もし就活が終わり内定受諾を迷ったときに説得する観点を知っておきたい

(回答例)

私が弁護士事務所選びで最も重視する点は~です。なぜなら、~だからです。

 

事務所選びのポイントを再度聞かれたときや複数内定が出たときにどう判断するかを聞かれたときは、内定が出る直前だと考えて良いと思います。

 

同時並行的に就活をしていると内定が複数出ることがあります。このような場合に、どの弁護士事務所を選ぶのか、及びもし迷いが見えるようならどう説得するべきかは面接担当弁護士が気にしている点です。

 

弁護士事務所選びで最も重視する点を聞かれたら率直に答えて良いと思います。

この回答に基づいて面接担当弁護士は良い情報を提供すると思いますが、弁護士事務所に合わせた回答だと良質な情報を得られない可能性があるからです。

 

就活の終わりまであと一歩なので是非頑張ってください。

 

4.       まとめ

 

本記事では就活の面接時に質問をされたときの意図・趣旨やどのような観点で回答するべきかを説明しました。

 

なお、就活の質問で意図や趣旨が分かりかねる場合はきちんと確認する、聞き返すことが重要です。もし遠慮して回答をすると質問趣旨とずれる可能性があります。そうなると、とんちんかんな回答をするコミュニケーション能力がない方と思われる可能性があります。

 

就活の面接は緊張すると思いますが、あくまで対等な立場でお話をするものです。コミュニケーション能力と言っても普通に受け答えする感覚で、リラックスして就活をした方が成功しやすいと思います。

 

弁護士として活躍するために、希望通りの弁護士に入所するために就活を上手く進めていただければと思います。

 

 

弁護士や司法修習生の皆様が私たちと働きたいと思われたなら、若手弁護士の働き方の特設ページをご覧ください。就職活動・転職活動をしている弁護士・司法修習生の皆様の参考になる情報を記載しています。