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弁護士の就職に年齢は関係するか?|年齢が高いと就職活動が有利なポイント3つ

最近は予備試験受験生が増加しており、社会人経験者で予備試験経由で司法試験に合格された方も増えているようです。

社会人経験があり司法試験の合格年齢が高い方は、「弁護士事務所に就職できるのか?」と不安を感じる方もおられるようです。

 

そこで、本記事では弁護士として就職活動するときに、どの程度年齢は考慮されるのかや、むしろ年齢が高いと有利になる点などを解説します。

 

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

 

1.     弁護士の就職活動に年齢は関係ないことが多い

 

まず弁護士の就職活動において原則として年齢は関係がないことを指摘しておきます。これは司法試験合格時に28歳~32歳前後というやや年齢が高い層に留まらず、仮に40歳・50歳を超えていても年齢が弁護士の就職活動に支障が生じるとは考えにくいと思われます。

 

もっとも年齢が就職活動で考慮されるケースもありますので、まず例外的に弁護士の就職活動で年齢が考慮されるケースを指摘しておきます。

 

1.-(1)  四大法律事務所等の就職活動

 

四大法律事務所を筆頭としたかかるクラスの法律事務所においては、残念ながら弁護士の年齢が就職活動で考慮されているように思われます。

基本的には大学・ロースクールなどを通じての浪人・留年回数や受験回数が考慮されるためです。具体的には、司法試験合格時の年齢が25~26歳までが限度ではないかと思われます。

 

1.-(2)  検察官・裁判官の就職活動

 

弁護士の就職活動とはやや異なりますが、検察官・裁判官の就職活動においても年齢は考慮されるようです。

どの程度年齢が考慮されるかは明らかではありませんが、なんとなく30代前半ぐらいまでで採用されている印象はあります。

 

検察官・裁判官の就職活動で年齢が考慮されるのは、年功序列型の組織構造が影響しているように思われます。司法修習期によって横並びで人事管理が行われるため、同期間で年齢差があるとやりにくいのが率直な本音だと思われます。

(追記)2019年2月11日

下記の通りご指摘いただいて簡単に調べたところ、71期司法修習生の判事補採用は23歳から41歳との報道があるようです。より信頼性の高いソースがある方はご指摘いただけますと幸いです。

(参考)判事補採用が一番多いのは予備試験ルート

 

1.-(3)  社会人経験がない場合

 

最後に弁護士の就職活動において、社会人経験がなくかつ年齢が高い場合は敬遠される可能性があります。長年司法試験の受験に専念してきたようなケースですね。

 

もっとも、これは年齢が高いことが悪影響を与えているというより、司法試験の合格まで時間がかかっているマイナス点があり、社会人経験がないことからリカバリ―ができない点かと思われます。

 

従って、弁護士の就職活動において年齢が高いことだけが純粋に悪影響を与えている訳ではないように思われます。

 

2.     年齢が高いことが弁護士の就職活動に有利な点

 

私は、年齢が高いことは弁護士の就職活動でむしろ有利に働く点が少なくないと感じています。

 

2.-(1)  年齢が高いことが有利な点①:豊富な社会経験があることの安心感

 

最近は、司法試験合格時に年齢が高い方はほとんどが社会人経験があり予備試験経由で合格をされた方のようです。

このような場合、年齢が高いと言っても短期間に司法試験合格を勝ち取られており、法的素養での心配はほとんどないかと思います。

 

そうすると、逆に社会人経験があるなどのメリットが目立つように思います。年齢が高い方が弁護士の就職活動で有利になる一番のポイントは豊富な社会人経験があることでしょう。

  • 基本的なマナーや組織で働くことへの理解がある
  • 営業経験・管理職経験などの貴重なスキル
  • 前職時代の業界における人脈・知識

 

2.-(2)  年齢が高いことが有利な点②:見た目の貫禄

 

年齢が高いことはそれ自体で弁護士として有利だと思います。年齢が高いことが弁護士の就職活動で有利な点の二番目は見た目の貫禄があることです。

これは冗談のように思われるかもしれませんが、弁護士として活躍する上で見た目の貫禄があることは非常に重要です。

 

弁護士としての経歴・実績・経験年数が上回って居ようとも20代後半の弁護士よりも、弁護士に成り立ての40歳弁護士の方が信頼されます。

従って、年齢が高い弁護士であれば新人段階からすぐに相談者から信頼を得ることができるため、就職活動において相談者対応の即戦力として期待することができます。

 

年齢が高くて弁護士の就職活動に不安を感じていることは、弁護士としては年齢が高いことそれ自体に価値があることは自分の強みとして自覚されることをおすすめします。

 

2.-(3)  年齢が高いことが有利な点③:洞察力ややる気がある

 

私が採用面接で感じるのは、年齢が高い方はやる気があり、洞察力がある顕著な傾向があることです。

考えてみると当然で社会人としてのキャリアを捨ててまで弁護士を目指しておられるわけで熱意をもっておられるのは当然かと思います。

とくに社会人経験を経てある程度の挫折や限界を感じ、その理不尽を解決するために弁護士になった方が多く志が高いなという印象があります。

 

また、社会人経験を含めた人生経験が豊富であるため、想像力や洞察力がある方が多い印象です。

社会の理不尽や苦労もそうですが年齢が高いだけあって、新卒で就職活動をしている方とは違った視点で分析をされる方が多いです。

年齢が高いことを就職活動のときに不安に思っておられる方は、学生経験しかない方との違いをアピールすることは就職活動のポイントかと思います。

 

 

3.     弁護士の就職活動で年齢が高いときに注意した方が良い点

 

弁護士事務所に就職活動をするときに年齢が高い方が注意した方が良い点も一応指摘しておきます。

どのような点に注意をするべきかと言うと採用する側が不安に思う点です。

 

3.-(1)  待遇面について

 

社会人としてのスキル・キャリアは高い評価を得られるとしても、直ちに待遇に反映されることは少ないかと思います。従って、前職時代の待遇と比べると、弁護士1年目の待遇が下がる場合もあるかと思います。

 

採用する側としては、前職の待遇と比べて十分な待遇を出すことが難しいこと、この場合に生活水準が維持できるかは気にかかります。

年齢が高い方が弁護士事務所に就職しようとするときは、この点は少し検討された方が良いかもしれません。

 

3.-(2)  指導・監督について

 

ボス弁や兄弁の方が若い場合は、採用する側としてきちんと指導・監督ができるのか不安に思うこともあるようです。この点は指導する側・指導される側の両方が抱える課題だと思います。

 

年齢が高くて弁護士の就職活動に苦労されるときは、年齢や能力に問題があるというより、採用する側が指導・監督に不安を覚えているのかもしれません。

逆に言うと就職活動時には、若い弁護士から指導・監督を受ける可能性があること、その場合にどのように対応しようと考えているかは考えを整理しておいた方が良いかもしれません。

 

4.     まとめ:年齢が高いことを弁護士としての武器と考えた就職活動

 

私は、年齢が高いことはむしろ弁護士として有利だと考えています。現実に、当事務所設立から年齢を気にすることなく採用を行っています。具体的には以下のような弁護士の採用を行ってきました。

  • 10歳年上の税理士事務所勤務経験がある弁護士
  • 20歳近く年上の女性弁護士
  • 一回り近く年上の社会人経験がある弁護士

 

相談者・依頼者からの信頼獲得などで年齢が高いことは弁護士として有利に働いている実感があります。

年齢が高いことで弁護士事務所への就職活動に不安を感じることなく、むしろ弁護士としての強みと捉えて積極的にチャレンジされることをおすすめします。