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弁護士の就活でするべき逆質問17選と採用面接で逆質問が重要な理由

就活の面接で「何か質問がありますか?」と逆質問をされたときは注意が必要です。
逆質問とは、就活生が採用側に対して行う質問のことを言います。

逆質問は、就活生が積極的・自主的に行うものです。従って、上手く逆質問ができれば強力な自己PRになる一方で、逆質問がいまいちだと悪い印象を与えるリスクもあります。

 

とくに弁護士は質問力が重要になる職業です。例えば、依頼者から事情聴取するとき、主尋問・反対尋問をするときなど、重要な場面で弁護士は質問力が求められます。

従って、弁護士の就活では「何か質問がありますか?」と逆質問をされたときはポイントであり、私たちも採用面接の時に重要な評価要素と考えています。

そこで本記事は、就活において面接担当の弁護士から「何か質問がありますか?」と逆質問をされたときの対応について解説します。

 

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

 

1.     前提:事前に分かることは聞かない

 

逆質問に対応するために、採用面接の前にしっかりリサーチを行っておき、事前に分かることは聞かないようにしましょう。
例えば、ひまわり求人やホームページに掲載してあることを逆質問すると、面接官から「就職活動のやる気がないのかな?」と思われてします。

 

従って、事前にひまわり求人・ホームページぐらいは確認しておき、記載してあることは尋ねないように気をつけましょう。

なお、ホームページですが、最近は弁護士の求人専門サイトを作成している法律事務所も増えています。単に「法律事務所名」で調べるのではなく、「法律事務所名+求人」、「法律事務所名+弁護士+採用」等で検索することをおすすめします。

 

2.     事務所の特徴に関する逆質問5選

まず事務所の特徴に関する逆質問のパターンです。

 

3.-(1)  事務所理念について

ホームページ等に事務所理念が掲載されていれば、法律事務所側として最も重要と考えているポイントです。いつ・誰が事務所理念を作ったのか、どのような経験から事務所理念が生まれたかを聞くのは良い逆質問と言えるでしょう。

もっとも、事務所理念を逆質問するのは経営者弁護士・パートナークラスに対してするべきです。若手弁護士だと正確に理解していないことも多いので注意しましょう。

 

3.-(2)  事務所の文化・価値観について

明確に事務所理念がなくても、文化・価値観の特徴は必ず存在するはずです。

「どのような文化があると考えていますか」、「どのような価値観を大事にされていますか?」と逆質問することは事務所の理解を深めるために重要だと思います。

そもそも、組織に文化・価値観があるのは組織内で活躍した経験がないと分からないかもしれません。文化・価値観は明文化できず、暗黙のうちに共有されているものなので、面接時に聞くかちがあります。

 

3.-(3)  取扱分野の内容

どのような案件を取り扱っているかも面接で聞いた方が良いでしょう。取扱分野の構成比等は公開されている情報では分からないので、面接時に逆質問する価値があります。

取扱分野に偏りがあるときは、「なぜ当該分野に注力しているのか?」を聞くと色々と気付きが多いはずです。
逆に様々な取扱分野があるときは、「新人弁護士がどのような案件を行うか」、「どのように案件が配点されるか」を聞いてみると良いでしょう。

また、将来的にどのような分野を伸ばしたいかも良くある逆質問の例です。

 

3.-(4)  主な受任経路

簡単で良いので主な受任経路を聞くことをおすすめします。一般的には、WEB経由か紹介経由かになりますが、受任経路は事務所のビジネスモデルの根幹に関わると考えています。

(参考)WEB集客する法律事務所の客層が悪いのは真実か?

 

また、受任経路を確認することで不審な点があれば非弁系法律事務所を見抜くことができます。WEB経由であれば怪しいコンサルタントが集客に関与していないか、紹介経由であれば非弁業者が関与していないかがポイントになります。

他方で、受任経路は事務所の重要な営業秘密です。詳しく質問をしすぎると警戒されるかもしれないので、どこまで突っ込むかは慎重に判断する必要があります。

https://twitter.com/GinzaLibrary/status/1221502976017104896

 

3.-(5)  採用予定の人数

採用・人事方針は逆質問をするべきポイントですが、事務所の特徴に関わる点として採用予定の人数がどれぐらいか、なぜ当該人数なのかを聞くことが考えられます。

事務所が拡大を目指すのか・維持をするために採用しているのかが分かります。また、採用に至った背景事情を聞くことで、事務所の特徴が分かることもあります。

 

 

3.     若手弁護士の働き方に関する逆質問5選

事務所に入所した後にどのような働き方をすることになるかを確かめるための逆質問です。若手弁護士に対してだけでなく、弁護士を指導する立場(事務所規模に応じてボス弁・先輩弁護士)にも質問してみましょう。

 

3.-(1)  平均的な1日・1週間のスケジュール

どのようなスケジュールで働いているかを聞くのは良い逆質問の方法です。単に出社時間・退社時間を聞くよりも、ソフトな聞き方でより多くの情報を引き出すことができます。

出社時間・退社時間だけでなく、新規の法律相談はどれぐらいあるか、交渉案件・裁判案件の比率、どれぐらい忙しいか(例えば、昼食が取れるぐらいには余裕があるとか)が分かる逆質問の例です。

3.-(2)  どのような指導・教育体制になっているか

新人弁護士としてすぐ活躍できるわけではなく、仕事の仕方をある程度覚えるまでにどのような指導・教育があるのかを知るための質問です。

基本的にはOJTである法律事務所がほとんどですが、先輩弁護士やボス弁とどのようなコミュニケーションを取っているかを聞くことが良いでしょう。

また、ボス弁から直接指導があるのか又は先輩弁護士から指導を受けるかも事務所の雰囲気に大きな影響を与えると思っています。
個人的には、実力あるボス弁から細かく指導を受けられるのは一見すると良さそうに見えて、早期退職に繋がりかねないリスクもあると思っています。

(参考)マイクロマネジメントと弁護士の研修・指導体制の落とし穴【早期退職を回避】

 

3.-(3)  仕事のやりがい

どのようなときに仕事のやりがいを感じるかも良い逆質問だと思います。やりがいを感じるポイントは、弁護士として重要視している価値観に関連します。
仕事のやりがいが、各弁護士で違うのはもちろんですが、どのような考え方の弁護士がいるのかを知るための質問と言えるでしょう。

 

3.-(4)  活躍している弁護士の特徴

経営者・パートナークラスと面接するときに是非聞いておきたいのが、活躍している弁護士の特徴です。事務所に所属している弁護士を多数見ているからこそ、色々と比較をして分かるポイントです。

どのような能力・働き方が求められているのか、どのような基準で人事評価がなされるかを窺い知ることができます。

 

3.-(5)  個人事件の可否・経費分担

個人事件ができるかや経費分担は確認しておきましょう。求人欄に記載がありますが、現実に個人事件をやっている弁護士がいるか、どのような経路で個人受任をしているのかは聞いた方が良いでしょう。

なお、個人受任と扱われる案件の取扱い、個人受任を行うときの細かなルールがあるときもあります。もし不安があれば、細かい点まで確認しておきましょう。

 

4.     事務所の人間関係に関する逆質問4選

4.-(1)  事務所の雰囲気について

漠然とした質問ですが、あえてオープン・クエスチョンで「事務所の雰囲気」について逆質問すると意外な本音が見えるかもしれません。
「どのような雰囲気が特徴ですか?」と質問されたときに、一番に口にする言葉は法律事務所の空気感を本質的に表しているでしょう。

新人弁護士、先輩弁護士、経営者弁護士が口をそろえて言及する事務所の雰囲気は、おそらく事務所選びにおいて重要な要素になるはずです。

 

4.-(2)  弁護士同士の人間関係

弁護士同士の関係性は、面接時の態度やここまでの逆質問で雰囲気的に分かるはずです。しかし、もし分からない点があれば明確に質問をしても良いでしょう。

ただし、人間関係を聞いて回答を鵜呑みにするのは浅はかではないでしょうか。
例えば、「風通しが良い法律事務所です。」と答えたとしても、ボス弁と同席している先輩弁護士がガチガチに緊張していれば、つまり実態はそういうことですよね笑

 

4.-(3)  事務局と弁護士の関係・役割分担

まず、事務局が何名いるかはひまわり求人やホームページ等で確認しておきましょう。もっとも増減があり得るので、事務局が2~3名であれば「現在、何人ぐらいいますか?」と聞いておくのが良いでしょう。

事務局が非常に多い法律事務所は大量の業務処理をする必要があります。他方で、事務局が少ない法律事務所は、伝統的な法律事務所で専ら弁護士が案件にコミットする必要があります。

単に事務局と弁護士の役割分担だけではなく、人間関係にも注意が必要です。新人弁護士と長年勤めた事務局であれば、事務局が上の立場になります。
厳しい事務局が居るため新人弁護士が辞めることになったエピソードは少なくありません。必ず確認しておきましょう。

 

4.-(4)  内定者の人数や人柄

法律事務所を選ぶ基準において、「同期がいるか?」を重視している人が増えているように感じます。この観点から、内定者の人数やどんな人がいるかを逆質問することが考えられます。
同期が居ると簡単なことを気軽に聞けます。また、辛いことがあっても一緒に頑張ろうという励みになります。

頑張って長期間働ける環境であるか、他の就活生から選ばれる法律事務所であるかを確認する意味でも内定者の人数・人柄は聞くことをおすすめします。

 

5.     その他:入所までに確認しておくべき3つの点

採用面接時の逆質問ではありませんが、入所までに以下の点は確認しておきましょう。

5.-(1)  契約形態:雇用契約・業務委託契約

勤務弁護士の契約形態は、雇用契約か業務委託契約になります。いずれの契約形態であるかは確認しておく必要があるでしょう。
とくに業務委託契約であるのにも関わらず、若手弁護士の働き方について厳格な時間管理がされているなら本当に入所して良いか少し考えても良いと思います。

5.-(2)  弁護士の年収

基本的な点ですが、弁護士の年収を教えて貰わないまま入所してしまうケースも少なくありません。しかし、何かしら弁護士の年収については確認しておいた方が良いと思います。(但し、四大法律事務所では初任給が1000万円を超えることは公然の秘密であり、明示的・公式には年収を教えて貰わないケースもあるかと思いますが安心して良いと思います。)。

5.-(3)  弁護士会費・交通費の負担

弁護士会費や交通費はうっかりすると確認しないまま入所しかねません。この点を重視するなら念押しのために確認しておかないと、後々になって揉める場合があります。

 

6.     まとめ:逆質問では的確な質問をしよう

逆質問でどのような質問をするかは弁護士の能力が分かる点です。相手を不快にさせることなく、多くの情報量を引き出せる質問をするのが良いでしょう。

採用面接において逆質問は、単に聞きたいことを聞くだけではありません。自分のやる気や入所意欲をアピールするとともに、法律事務所側から人柄・能力・価値観をチェックされている意識が大事です。
現実に、面接官の立場からすると採用面接の対応で合否を決することもあるぐらい非常に重要なポイントです。

 

「最後に質問がありますか?」とオマケのようですが、油断せずにしっかり対応しましょう。

なお、採用面接の対応については下記記事も参考にしてください。

(参考)採用担当弁護士から司法修習生へ送る就職活動のコツ(面接編)

(参考)10分で効果がある!就職活動で弁護士に知性を感じさせる話し方戦略【就活生必見】

 

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