司法修習生の就職活動【正解例を公開】(履歴書編)

私たちは、日本一の法律事務所になることを理念として掲げており、設立当初から積極的な採用活動を行っております。しかし、採用活動において、事務所側と司法修習生側で認識にギャップがあると感じることも少なくありません。

 

そこで、本記事では採用側の立場から見て、司法修習生が就職活動に成功するためのポイントを解説したいと思います。

なお、本記事は独断と偏見に基づくものであり、私たちの事務所に応募いただくときは効果を保証しますが、他法律事務所では逆効果な可能性もあるのでご留意ください…笑

 

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1.      履歴書でどこを見ているかを知る

 

就職活動はドライに捉えると、労働力を求める弁護士事務所と賃金やスキルを求める司法修習生の交渉の場です。

就職活動に限らず相手が何を考えており、どういう点を重視しているかを知ることは戦略を立てる上で必要不可欠です。

そこで、まず履歴書のどういう点が見られているかを考えましょう。

 

1.-(1)  前提:履歴書は書類選考時や面接前には熟読されない

 

まず前提として、採用をしている弁護士事務所側は、案件処理の傍らで採用活動を行っていることを強く認識しておいてください。四大法律事務所ですら採用専属の弁護士はいなかったので、どんな法律事務所であっても採用活動に全力投球している弁護士はいないと思います。

 

端的に言うと案件処理で多忙な弁護士は履歴書を熟読することはできません。履歴書や志望理由書は、できるだけポイントをまとめたものが望ましいでしょう。他方で、全く情報がないのもやる気がないのかなと思われます。目安としては、履歴書+志望理由書(A4用紙1枚)ぐらいを用意するのが良いかなと思います。

 

他方で、後述の通り選考過程が進んで行くと履歴書は何度も見返されます。履歴書にはポイントを要領良く書いておき、その裏付けとなる点は面接時に補足説明するような内容が良いのかなと思います。

 

1.-(2)  パッと見たときの雰囲気は超重要

履歴書は熟読できませんが、少なくともざっとは見ます。そうすると重要になってくるのはパッと見たときの雰囲気や印象です。

写真の外見だけでなく、例えば写真の貼り方であるとか、文字の見やすさ、履歴書全体の雰囲気などは意外と面接官に与える印象は大きいと思います。

 

履歴書は書類選考を通過することだけが役割ではありません。何人もの司法修習生に会っていると、あの人はどんな人だったかな?と思うことがあります。

選考過程において何度か履歴書を見ることになるため、最終的に面接時の印象ではなく履歴書の印象が残ることになります。書類選考だけでなく、選考過程の全体で見返されることは知っておくべきかと思います。

(参考)履歴書や自己PR書類の意外な活用法

 

1.-(3)  履歴書から司法修習生の個性を見抜こうとしている

 

理想的な履歴書とは「司法修習生の個性」が伝わるものです。なぜ司法修習生の個性が重要かと言うと事務所の雰囲気とマッチングするかを把握するためです。

 

採用側にとって、一番の痛手は内定辞退をされたり、早期に退職されたりすることです。これは私たちの至らなさではありますが、様々な準備や採用計画が無駄になりますし、何より精神的にがっくりきます。

 

私たちの事務所は個性が尖っていると認識していますが、個性が弱い方は私たちの事務所とミスマッチにならないか不安があります。そのため、履歴書で司法修習の個性を知って、私たちの事務所を気に入って貰えるかを一番注意して見ています。

 

2.      志望理由で書くべきこと、NG事項

履歴書を書くときに一番悩むのが志望理由ではないかと思います。志望理由に関しては司法修習生の個性が最も出るところであり、また、司法修習生のスキルが垣間見えるところです。

 

2.-(1)  前提:志望理由を事務所ごとに変えるか?

 

履歴書を読めば志望理由を使いまわして少しだけ事務所に合わせて変えているのか、最初からオーダーメイドで履歴書を作っているのかは一目瞭然です。

もちろん、事務所ごとに志望理由を変えた履歴書を作成すれば高評価を得られます。しかし、志望理由を使いまわしていると感じても、大幅な減点や足切りをすることは少なくとも私たちはしていません。

 

複数の事務所に履歴書を提出するときは時間・労力を省くため使いまわしをせざるを得ないと思います。事務所に対する志望度合いの高さや、事務所の書類選考通過の難易度に応じて個別的に判断すれば良いと思います。

 

2.-(2)  記載した方が良いこと

 

一番気になるのは、あなたがどういう人間であり、どういう基準で事務所選びをしているかです。従って、人柄が分かるエピソードや、仕事に対する考え方、事務所選びで優先したい内容は必ず記載した方が良いと思います。

 

良い例①

私はチャレンジ精神が強く、結果を出すことにこだわっています。例えば、アルバイトにおいて~を達成したときは非常に大きな喜びを感じました。弁護士になってからも、できるだけ早い段階で様々なことにチャレンジできる事務所に入所したいと思います。その点、貴所は~という考え方が魅力的だと思っています。

 

良い例②

私は、じっくりと物事に取り組む性格です。例えば、~において最初は上手くできませんでしたが、コツコツ頑張るうちに~を達成することができました。従って、事務所選びでは研修制度の充実度を重視しております。貴所は~という制度がある点に惹かれました。最初は上手くできなくてもコツコツ精一杯頑張ろうと思います。

 

上記良い例を読めば、司法修習生の性格・人柄が分かるため、事務所とミスマッチを起こすかを判断できます。もちろん事務所との相性がありますので、このように記載すればどの事務所でも書類選考に通過するわけではありません。しかし、少なくともミスマッチを起こしにくい点で司法修習生・事務所の両方にとって良い記載内容かと思います。

良い弁護士事務所の選び方

司法修習生にとってキャリアをスタートする弁護士事務所は重要です。せっかく就職するなら良い事務所に就職したいと思われるのは当然です。弁護士の就職且つ活動における事務所選びは下記記事を参考にしてください。

(参考)【弁護士の就職活動】採用目線で考える司法修習生の弁護士事務所選び

 

2.-(3)  NG事項

 

NG事項に関しては面接官個人の感じ方があると思います。従って、私の個人的な考えとして捉えてください。

 

①    司法試験の苦労・成果をアピールするもの

 

司法修習生である時点で司法試験は合格して当たり前なのであまり響きません。また、成果としては100位以内とか、短答式・選択科目1位とかは凄いなと思います。しかし、微妙な内容であれば履歴書に書かなくても合格通知書を見れば分かるのにと率直に思います。

 

②    不幸話を前提とした弁護士を目指した理由

 

そもそも弁護士を目指した理由を志望理由に記載する必要があるのか疑問です。履歴書における志望理由書は、弁護士として働く理由ではなく、貴所に入所したい理由を記載した方が響くと思います。

また、不幸な目にあったのを弁護士に助けられて憧れたという話はありがちですが、正直重いな…と思います。また、不幸体質な感じを受けるので、個人的には好きになれない記載です。

 

③    企業法務志望の注意点

中小企業の役に立ちたいと履歴書に記載される方は多いですが、この点は深く考えて記載しないと注意が必要です。まず企業法務はすごく幅広いので、具体的にどういう企業を対象として(規模・業種など)、経営者のどういう悩みを解決したいのかを記載しないと表面的な記載になります。

しかし、社会人経験がない司法修習生で経営者の悩みをリアルにイメージして履歴書に落とし込むことに成功できる人は少ないと思います。

 

また、「役に立ちたい」、「助けたい」という気持ちは分かりますが、前提として弁護士報酬を支払って貰う必要があります。経営者はシビアなので、役に立たない弁護士にお金を払って助けてもらいたいとは思ってないのではないでしょうか。

中小企業の経営者から、「弁護士報酬を支払って貰ったうえで弁護士報酬を上回る価値を提供できるか」(※)という観点が抜けている司法修習生が多いように感じます。

※この点が具体的にどういうことか分かれば、バンバン顧問契約が取れる人気弁護士になれると思います…笑

 

3.      その他履歴書のQ&A

3.-(1)  履歴書は手書きの方が良いですか?

手書きである必要はありません。むしろ、手書きで字が汚いよりは、PCで綺麗に作成した履歴書の方が良いと思います。ただ、この点は事務所によって考え方が分かれるかもしれません。

 

3.-(2)  履歴書の形式面で注意点はありますか?

 

まず、Excelで履歴書を作成して送付するのは止めましょう。Excelは表計算ソフトであり、履歴書作成には向いてないと思います。Word、Excel、Powerpointを適切に使い分けられないと思われて減点の可能性があります。

さらに一般的でないファイルは開けなくて「ウィルスか?」と一瞬思うこともありますが、その点だけで書類選考に落とされてもおかしくありません。

おすすめはPDFで送付することです。

 

もう一点は、写真にはこだわりましょう。見栄えの良い写真を使用することはもちろん、写真の貼り方にずれがあると大きな違和感を感じます。履歴書で写真は一番力を入れるぐらいで良いと思います。

 

3.-(3)  履歴書のサイズはありますか?

A4用紙又はA3用紙がビジネスでは一般的なサイズです。他方で、市販の履歴書はB4サイズなので迷うところかと思います。個人的な好みでいうと、断然A4用紙又はA3用紙で作成することをおすすめします。履歴書以外の選考書類を合わせて管理するときに管理しやすいからです。

なお、一番NGなのは「履歴書のサイズに指定はありますか?」と質問することです。履歴書のサイズはどちらでも良い些細な事項です。些細なことまで聞かないと行動できない、決断力のない人だと思われるリスクがあります。

 

3.-(4)  事務所の呼び方は?

弁護士事務所は会社と違うため貴社・御社ではありません。そこで、弁護士事務所は貴所と御所や貴事務所や御事務所等をどう使い分けるべきかが問題になるかと思います。

結論から言うと履歴書においては「貴所」、口頭では「御所(おんしょ)」で良いと思います。

 

3.-(5)  PowerPointでPR書類を提出して良いですか?

PowerPointで履歴書に加えて、PR書類を提出した方がいるのですが非常に好印象です。めちゃくちゃ完成度が高くなくても、基礎的なPowerPoint資料が使えることは大きな加点要素です。

なお、ベンチャー企業法務を扱っている某弁護士事務所は、入所直後にPowerPointの研修を力を入れて実施すると聞いたことがあります。大きな法律事務所でもPowerPointは使いこなせないため、今後の弁護士が差をつけるためにはPowerPointスキルは大きな差になると思います。

4.     正解例(志望理由)

以上の説明を踏まえて正解例を挙げます。当事務所に提出する履歴書は、こちらをコピーしていただければOKという正解例です。

当ブログを見ている時点で志望度が高いこと、及びそのまま送る素直さがある時点で合格水準に達するためです。もっとも、正解例に従っていないから駄目というわけでは決してなく、個性を出していただければ構いません。

4.-(1)  そのまま使える正解例

 

貴所を志望するのは、日本一を目指す事務所理念に共感するとともに、自由と責任の文化を重んじる貴所でのびのびと働きたいと考えたためです(注1)。

 

私の長所は、チャレンジ精神と好奇心があることです。例えば、(長所を示すエピソード(注2)を入れてください)。

そのため、自分が主体的・積極的に案件に取り組める環境があるかや、早い段階でチャンスを与えられ成長する機会があるかを重視しています。

貴所は、自由と責任の文化があり、責任をもって案件処理に取り組む限り、若手の段階で積極的・主体的に案件を担当できる機会が与えられるとホームページで拝見しました(注3)。

この点が私の求める事務所像に合致するため是非貴所に入所したいと考えました。

 

貴所に入所した場合は、(アソシエイト弁護士orパートナー弁護士orアソシエイト弁護士・パートナー弁護士のいずれでもor面接で確認したい)働きたいと考えております(注4)。また、(勤務地は原則として東京を希望しますor機会があれば支店長も経験したいと思っています。)(注5)。

 

4.-(2)  正解例の注釈

 

(注1)

志望理由の記載欄なので端的・簡潔に志望する理由(結論)を最初に記載するのが良いと思います。

 

(注2)

エピソードの流れですが、チャレンジ精神を示すためにはリスクがあることに挑戦して失敗したもののどうリカバリ―したか、好奇心を示すためには趣味や読書などで幅広い内容に関心があることを示すのが良いと思います。

 

私が、森・濱田松本法律事務所に提出した履歴書では、好奇心が強いことが長所であるとして、「小学生時代はサッカー、バスケ、バレーなどに興味があり友達と良く遊んでいました。また、中学時代は、囲碁に打ち込み全国大会に出場し新聞にも2回掲載されたことがあります(囲碁5段)。また、全国空手道大会に出場して全国3位の賞状を貰いました。大学時代では、奇術研究会や囲碁部に所属していましたが、囲碁部ではよく麻雀をやっていました。また、お酒に目覚め、とくにワインが好きです。」旨を記載したと思います。

 

(注3)

細かい点ですが、事務所のことを断言口調で記載するのは個人的には良い印象を受けません(褒め言葉でも初対面の人間から「お前はこんな人間だ」と言いきられると違和感があるのではないでしょうか?)。

可能であれば、事務所のことに関しては情報源を明示すれば(ホームページで拝見しました、事務所説明会で伺いました、ひまわり求人をみてなど)、採用担当側にどんな媒体を見たのかが伝わりますし、求人内容を確認していることが分かって好評価だと思います。

 

(注4)

当事務所は履歴書の必須記載事項として報酬形態の意向を求めています(詳細は参考ページをご覧ください。)。記載事項を見落としていると求人内容をよく理解していないと思われるので、この点はよく確認するようにしてください。

(参考)弁護士の就職・転職ならアイシア法律事務所へ

 

 

(注5)

当事務所は全国展開を志向しているため、もし支店長を希望する場合はその旨を記載いただければ積極的に評価させていただきます。もっとも、勤務地に希望がある場合はご意向を尊重いたしますので、その旨もご記載いただければと思います。

 

ご注意ください
本記事は私たち独自の考え方に基づくものであり、普遍的に妥当するものではありません。また、採用活動は独断と偏見で人を選別する側面があるものなので、記載内容もそのような性質がある点にご留意いただくとともにご批判はご容赦ください。

 

5.      まとめ

司法修習生が就職活動において履歴書を作成するときの注意点を解説しました。本記事の内容は、かなり具体的で踏み込んだ内容になっていますが、弁護士事務所側の本音ベースですので参考にしてください。

 

他方で、踏み込んだ内容になっているのは私個人の意見だからです。私個人の独断と偏見に基づいているデメリットがあり、他事務所で必ずしも妥当しない可能性があるので注意してください。

 

なお、履歴書の記載も本記事と同じように一歩踏み込んだ内容にするべきだと思います。

一歩踏み込むと賛否両論が生じると思いますし、本記事を読んで私たちに応募するのは避けようと思われる人もいるでしょう。しかし、逆に本記事を読んで好感を持つ司法修習生も必ずいると思いますし、そういう司法修習生に積極的に応募いただきたいと考えています。

 

履歴書では、司法修習生と法律事務所がマッチングできるか判断できるのが重要です。万人受けする内容は誰にも響きません。常識的な範囲内で一歩踏み込んだ記載をする方がよりよい就職活動に資するのではないでしょうか。

 

 

弁護士や司法修習生の皆様が私たちと働きたいと思われたなら、若手弁護士の働き方の特設ページをご覧ください。就職活動・転職活動をしている弁護士・司法修習生の皆様の参考になる情報を記載しています。