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弁護士の求人情報を探す6つの方法と6つの注意点を採用目線で徹底解説

弁護士や司法修習生が求人情報を探すときに、まとまった求人情報がなくて不便だという声を聞きます。

とくに弁護士の就職活動は、目指すキャリアによってスケジュールや選考フローが大きく異なります。

(参考)司法修習生の就職活動はいつから始まるか?スケジュールを解説

 

一般民事系の法律事務所への就職活動は、ひまわり求人求職ナビをチェックするぐらいで「これ以外に求人情報はないのかな?」と疑問に思われるかもしれません。

弁護士登録から3年間をどう過ごすかで弁護士のキャリアは決まるとも言われており、求人情報を比較検討した上で就職したいと思うのは当然です。

 

そこで、この記事では弁護士の求人情報を探す方法、特徴や注意点を解説します。とくに採用目線で応募時の注意点やサービスのメリット・デメリットに踏み込んで説明しています。

是非、就職活動を成功させるために参考にしてください。

 

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

 

1.       弁護士の求人情報を探すのが難しい理由【重要】

 

インターネットで弁護士の求人情報を探しても、自分にピッタリの情報がないと思われるかもしれません。

実は弁護士の求人情報を探すのが難しいのには理由があります。この理由を踏まえて就職活動を行うことがポイントになります。

 

1.-(1)  弁護士と事務員の求人情報がある

弁護士事務所や法律事務所に就職を考えるのは弁護士だけではありません。

 

「法律事務所 就職」などで検索すると、法律事務所での勤務を考えている事務員向けの求人情報が出てくる場合があるので注意が必要です。

(求人情報についてのインターネットの情報量:弁護士と事務員)

弁護士向け 事務員向け
インターン 多い 普通
就職活動 普通 多い
転職活動 多い 普通

 

例えば、ロースクール生や予備試験合格者がインターンを調べると、法律事務所に秘書・事務員として就職活動をしたい大学生3~4年生向けの求人情報が出てくる場合があります。

従って、このような場合は「サマークラーク」や「サマーインターン」等の弁護士志望者向けの求人情報を示すキーワードで検索をしないと正確な情報が出てきません。

 

1.-(2)  就職×転職と大手×中小×インハウスの求人情報

 

さらに弁護士だけに限っても就職活動と転職活動では求人情報が大きく異なります。

また、求人情報を探すとしても、四大法律事務所等の大手なのか、一般民事案件を扱う中小法律事務所か又はインハウスかで求人情報が異なります。

自分がどの弁護士求人を探しているかを意識して検索する必要があります。

 

(求人情報についてのインターネットの情報量:就職活動と転職活動)

就職活動 転職活動
大手法律事務所 多い 無い
中小法律事務所 少ない 少ない
インハウスローヤー 多い 非常に多い

 

実は企業の法務部員としてのインハウスローヤー向けの情報量は最近とくに多くなっています。

従って、インハウスローヤー向けの就職活動情報を見えて、面接や自己紹介を準備したら、中小法律事務所では求められていなかったということが起きるので注意が必要です。

 

1.-(3)  中小弁護士事務所は求人していないわけではない

以上の通り、弁護士の求人情報では、一般民事案件を扱う中小の弁護士事務所の情報が少なくなっています。しかし、中小の弁護士事務所が求人をしていないわけではありません。

むしろ中小規模の法律事務所を経営している弁護士が集まると必ず採用の悩みは話題になります。むしろ、弁護士を採用したがっているのが本音です。

 

中小の法律事務所の求人情報が少ないのには以下のような理由があります。

  • 採用活動にかける予算がない
  • 忙しくて求人情報を出す時間がない

お金と時間がないため求人情報を出せないという事情があるので、法律実務家としての弁護士を目指すならこの点を踏まえて求人情報を探す必要があります。

 

「求人情報の断絶」とは

司法修習生は就職活動は難しいと言い、中小法律事務所の経営者弁護士は採用活動は難しいと言います。おそらく、就職難も採用難も実感としては事実であり、真実に生じているのは「求人情報の断絶」ではないかと思います。

つまり、弁護士を採用したい中小法律事務所は多いものの、司法修習生に求人情報が届いていないように思われます。大手法律事務所やインハウスローヤー以外を志望するときは、求人情報の断絶のために苛酷な状況が生じています。

 

2.       弁護士の求人情報を探す6つの方法

 

ここでは司法試験を受験し就職活動をしないといけないと考えている人に向けて、弁護士の求人情報を探す方法をタイミングごとに分けて解説します。

 

2.-(1)  ホームページの求人情報

 

ホームページで求人情報を探することができるのは専ら四大法律事務所や準大手法律事務所・新興系法律事務所です。

とくに四大法律事務所における弁護士の求人情報は、司法試験直後の6月がほぼ唯一のタイミングなので見逃さないようにしましょう。

 

また、準大手法律事務所や新興系大手法律事務所は、司法試験直後から9月頃まで自社のホームページで求人情報を掲載しています。

ひまわり求人求職ナビは弁護士会で掲載ができないケースもあるようです。そのため、ひまわり求人求職ナビに掲載されていなくても求人を行っている法律事務所もあります。

(参考)「弁護士会への苦情件数が年10回以上」というひまわり求人求職ナビの不掲載基準について

 

また、中小法律事務所でもホームページで求人情報を出しているケースがあります。法律事務所のページを見て求人情報がないかチェックしましょう。

但し、求人情報を出したままホームページが修正されていないケースもあります。現在も求人を行っているかや、求人情報の更新日が過去のものでないかに注意が必要です。

 

MEMO

特定分野で著名な法律事務所を探す方法として、論文や著書から調べるというものがあります。

二日坊主さんは四大法律事務所の中の人でありながら、匿名で採用情報を発信するという特異なアカウントなので参考にさせて貰っています(匿名アカウントなので真偽判断は自己責任でお願いします。)。

 

 

2.-(2)  ひまわり求人求職ナビ:合格発表から司法修習初期

 

ひまわり求人求職ナビは日弁連による弁護士の求人サイトです。弁護士の就職活動・転職活動で最も利用されているのがひまわり求人求職ナビではないでしょうか。

とくに登録せずに使えるので、勤務条件や年収相場を確認する手段としても使えます。

 

また、ひまわり求人求職ナビは一般民事系の弁護士事務所に就職したいときのほぼ唯一の手段です。ひまわり求人求職ナビを活用することが一般民事系の弁護士事務所に就職するときのキーポイントです。

 

ひまわり求人求職ナビが最も使われるのは司法試験の合格発表がある10月頃から司法修習初期の3月頃までです。ひまわり求人求職ナビのポイントは「早い者勝ち」です。

弁護士の求人情報は採用が決まれば取下げられるため、原則として時間が経過すると求人情報はどんどん減ります。

一般民事系の弁護士事務所に就職を考えている方(むしろ、当該時点で内定がない方)は、早めにひまわり求人求職ナビの情報をチェックすることをおすすめします。

 

ひまわり求人求職ナビを利用するときの注意点は、ひまわり求人求職ナビだけで就職活動を完結させないことです。

掲載されている求人情報は情報量が少ないため、必ずホームページもチェックしましょう。

ひまわり求人求職ナビで興味がある法律事務所を探す→候補が見つかったら法律事務所のホームページをチェックするという流れが重要です。

 

また、応募方法にも注意が必要です。「選考方法」という欄に応募方法を細かく記載している法律事務所については、指定された応募方法に従っていないと書類審査で落とされても文句は言えません。

また、ひまわり求人求職ナビには簡単な情報しかなく、自社のホームページで求人用の応募フォームが用意されていたり、応募条件が記載されている場合もあるので注意が必要です。

 

ひまわり求人求職ナビの不便な点

ひまわり求人求職ナビは情報を一括で検索する機能がありません。求人情報を比較したり、どの程度の条件が相場かを並べ替えやフィルタ機能で調べることができません。

そこで、私たちが独自にひまわり求人求職ナビのデータをExcelに入力しました。

整理した情報は下記Twitterアカウントで情報発信していますので、弁護士事務所の就職活動時に是非参考にしてください。

 

 

2.-(3)  弁護士向けの求人情報サイト:合格発表から司法修習初期

 

弁護士向けの求人情報サイトとして利用されることが多いのがジュリナビとアットリーガルです。ジュリナビは全国法律事務所ランキングを毎年発表しているため、知っている方も多いかもしれません(なお、ジュリナビは利用に登録が必要なようです。)。

 

ジュリナビやアットリーガルについては掲載費用がかかります。従って、採用予算をかける弁護士事務所の求人情報とインハウスローヤー向けの求人情報が多いのが特徴です。

弁護士として就職活動をするのであれば、ジュリナビやアットリーガルの求人情報は以下のように使うことができます。

  • ロースクールや予備試験受験生向けのサマーインターン・ウィンターインターン情報
  • 準大手法律事務所やブティック系法律事務所の求人情報のチェック

 

ジュリナビやアットリーガルとひまわり求人求職ナビを見比べると、ジュリナビやアットリーガルに求人情報を出しているものの、ひまわり求人求職ナビには出していないものもあるようです。

逆のパターンは掲載費用が理由かと思いますが、ひまわり求人求職ナビにあえて求人情報を出さない採用戦略の理由は分かりません…

ただ、ひまわり求人求職ナビにない求人情報があるので、ジュリナビやアットリーガルも必ずチェックすることをおすすめします。

 

2.-(4)  総合型の就職情報サイトや転職サイト:随時

 

新卒や転職で会社員として就職・転職をする人に向けた総合型の求人情報サイトにも、弁護士や司法修習生の求人情報が掲載されていることがあります。

 

こちらは弁護士事務所ではなく、企業によるインハウスローヤーの求人情報がほとんどです。推測ですが、インハウスローヤーの求人情報を人事部が管理している場合、人事部の方で従前取引がある総合型の求人情報サイトに掲載するのではないかと思われます。

インハウスローヤーの求人に関しては、念のため有名な求人情報サイトもチェックされても良いかもしれません。

 

なお、ベンチャー企業の求人情報ですが、最近はwantedly等もあるようです。最近は、弁護士がリーガル・テックのベンチャー企業を経営することも増えてきました。

ベンチャー企業はwantedlyで求人情報を出しているところも多いので、ベンチャー法務に興味がある方はwantedlyをチェックしても良いかもしれません。

(参考)急成長で注目される弁護士が経営するリーガル・テックのベンチャー企業

 

2.-(5)  弁護士向けの採用エージェント:随時

 

エージェントを使って弁護士の求人情報を探すことも考えられます。とくに、経験弁護士が転職活動を行うときは、弁護士に特化した転職エージェントも多いようです。

当事務所でも転職エージェントを利用したことがありますが、以下のような転職エージェントがメジャーです。

  • C&Rリーガルエージェンシー
  • MS-JAPAN
  • 弁護士ドットコムキャリア

とくにC&Rリーガルエージェンシーは当事務所に弁護士を紹介してくれることが多く、レスポンスも良いので個人的に好印象を抱いています。

 

他方で、就職活動・転職活動で採用エージェントを利用するときは、事前にホームページや求人情報サイトで募集がないかを確認ください。

弁護士事務所にとっては、採用エージェントを通じて採用を行うと多額な費用がかかります。求人情報サイトと採用エージェントでは採用予算感がこれぐらい違います。

求人情報サイト 採用エージェント
司法修習生 掲載費用として、月間3~5万円程度 採用時に100~150万円程度
経験弁護士 採用時に150~250万円程度

 

採用する立場で言うと、求人情報サイト経由の候補者と採用エージェント経由の候補者は最初から採用費用でハンデを負っているようなものです。

当事務所でも、個人的な繋がりがあるため求人情報サイトから応募してくれれば良いのに、採用エージェント経由で応募があったため採用を見合わせたことがあります。

 

2.-(6)  紹介による求人情報の入手:司法修習中の3月以降

 

司法修習が進んだ3月以降は紹介による求人情報の入手も考えられます。とくに弁護修習生に司法修習委員の弁護士と仲良くなることをおすすめします。

むしろ、司法修習委員の弁護士が所属している法律事務所が、実は求人をしていることも十分あり得ます。

 

就職活動をする弁護士や司法修習生は就職難だと感じていますが、逆に採用する法律事務所側は採用が難しいと嘆いています。

とくに中小~零細の法律事務所は、求人情報を積極的に出しておらず「求人情報の断絶」を起こしているのに採用難だと思っていることがあります。

 

また、採用目線で言うと「良い人が居たら採用したい」が本音の場合もあります。

これは、「求人に応募があったら採用面接で良いか確かめた上で採用したい」ではなく、「良い人を勧められたら採用したい」という超受け身の可能性もあります。

このような場合は、司法修習への取組みを知っている司法修習委員や弁護修習の指導担当弁護士から紹介があれば、あっさり就職が決まることもあります。

 

就職先を紹介して欲しいと言うのは恥ずかしいかもしれませんが、十分な求人情報を出していない弁護士事務所が悪い面もあります。

「求人情報だけだと分からないので就職先を紹介して欲しい」と働きかければ、紹介のチャンスは多いかと思います。

 

3.       求人情報でチェックするべき6つのポイント

 

最後に求人情報のチェックポイントをいくつか指摘しておきます。ここでは、ひまわり求人求職ナビを例にとって求人情報で確認するべきことを指摘しておきます。

 

前提として記載されている求人情報をそのまま受け取らずに必ず面接時に確認しましょう。弁護士事務所の求人情報は総花的に記載していることも多く、就職・転職をしている司法修習生や弁護士とギャップがある場合もあります。

 

ここでは求人情報について、誤解が生じやすいため面接時に確認するべきポイントを説明します。なお、面接時の一般的な注意事項は以下の記事をお読みください。

(参考)採用担当弁護士から司法修習生へ送る就職活動のコツ(面接編)

 

3.-(1)  勤務場所

弁護士法人化しており積極的な支店展開を行っている弁護士事務所も増えています。支店の勤務は弁護士事務所によって、様々なスタイルがあるためきちんと確認しましょう。

なお、最近は勤務場所や勤務時間が自由な働き方も増えています。下記記事も参考にしてください。

(参考)弁護士が執務場所と執務時間が自由な法律事務所で働くときに考えるべき5つのポイント

 

3.-(2)  年収・給与

ひまわり求人求職ナビには「給与」の欄がありますが、単に給与制としか書いてないことも少なくありません。弁護士業界では、給与が分からないまま入所するケースも少なくありません。

良いこととは思いませんが、他方で面接時に給与のことを聞くのが難しい面もあるので、雰囲気や空気を読みつつ対応するしかありません。

年収・給与は、金額以外に事業所得(=業務委託契約)か給与所得(=労働契約)かの違いもあります。求人情報では分からない点なので、この辺りから話を進めることも考えられます。

 

3.-(3)  所属する弁護士・スタッフの人数

 

ひまわり求人求職ナビでは、弁護士・スタッフの人数を記載することができます。弁護士の人数は記載されていることが多いですが、スタッフの人数は求人情報では分からないので面接で聞いた方が良いでしょう。

 

弁護士・スタッフの人数については以下の点が分かります。

  • 弁護士事務所が組織化できているかが分かる
  • 弁護士・スタッフの人数比から取扱業務が分かる

 

3.-(4)  取扱事件

 

ひまわり求人求職ナビでとくに注意が必要なのは取扱事件です。1件でも取り扱ったことがあれば、とりあえずチェックしておくという対応をされていると思われる求人情報も少なくありません。

 

求人情報だけでなく、ホームページの内容等もチェックして取扱事件をきちんと確認することをおすすめします。また、面接時に取扱事件については詳しく話を聞いた方が良いでしょう。

なお、求人情報を自分の希望する取扱事件に我田引水的に引用して志望理由を書く方がいますがあまり印象は良くないので注意です。

(参考)司法修習生の就職活動 自己PR書類の書き方

 

3.-(5)  求める人材

 

ひまわり求人求職ナビには事務所アピールや求める人材を記載する欄がありますが、400字以内であるため弁護士事務所としては工夫が必要です。

そのため、当たり障りがない求める人材を書いているか、又はかなり踏み込んだ人材像を記載しているかに分かれるように思われます。

 

後者であれば求人情報から自分の向き・不向きがハッキリ分かります。他方で、前者については応募してみて面接で話を聞いて確認するしかありません。

 

3.-(6)  その他

 

求人情報から分かりにくいものの、必ず面接で確認した方が良い点が非弁のリスクと代表者の人柄です。

 

広告業者やコンサルタントが巧妙に事務所を支配している、又は紹介料ではないとしてもグレーな紹介がある等の非弁系法律事務所の話を聞くことが少なくありません。

非弁系法律事務所は求人情報で見抜くのは難しいか、むしろ求人サイト等は一見すると魅力的に見えるのでご注意ください。

 

また、代表者の人柄については法律事務所の経営に色濃く反映されるので確認した方が良いでしょう。

 

4.       まとめ

 

弁護士の求人情報は、様々な情報が混在しているため注意が必要です。とくに中小から零細弁護士事務所については、求人情報の断絶が起きていると感じます。

 

この記事を参考にして、ご自身にあった弁護士求人が見つかれば幸いです。皆さんの就職活動を成功させるために是非参考にしてください。

 

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