弁護士の営業活動が難しい本質的な3つの理由と解決策

最近は、弁護士の営業活動が重要だと言われるようになって来ました。

独立・開業する場合はもちろんのこと、事務所のパートナーになろうとする場合でも、営業力があることが重要性を増しています。

 

若手弁護士や司法修習生の中には、弁護士大増員の危機感から、積極的に営業活動を行おうと考えている方も少なくないようです。

他方で、弁護士の営業活動はどうすれば良いのか、営業活動は難しいという悩みもあるようです。

 

そこで、本記事ではなぜ弁護士の営業活動は難しいのか、営業活動を上手く進めるための解決策はあるのかを解説したいと思います。

 

1.  理由①:弁護士が提供するサービスは目に見えない

 

1.-(1)  サービスは販売時点には存在しない

 

弁護士に限らずサービス業一般に通じる点ですが、サービスは目に見えないため営業活動が難しいと言われています。

商品の場合は形状、見た目、品質、スペックなどが比較的分かりやすいです。これに対し、サービスはこれらの内容が目に見える形で存在しません。

もう少し言うと、営業活動を行う時点において商品は存在しますが、サービスは販売されてから存在するようになるのです。

 

1.-(2)  新規顧客の開拓が営業活動のポイント

 

顧客数は、「新規顧客+既存顧客-離反顧客」で決まります。

 

新規顧客を既存顧客にすることや、既存顧客を離反させないことについては、提供したサービスの内容が決定的に重要です。なぜなら既存顧客は一旦サービスを購入し、サービスを体験しているからです。

 

逆に言うと、前述の通りサービスは販売前には存在しないため、新規顧客はサービス内容を知ってから購入することはできません。

従って、新規顧客の開拓は、サービス内容+αのものが必ず必要となります。この+αを考えるのが営業活動と言えるでしょう。

 

2.  理由②:弁護士=先生業と営業活動の相性が悪い

 

2.-(1)  営業活動に品位が求められる難しさ

 

弁護士はサービス業ではありますが、一般的には「先生」としてのイメージを持たれています。このことは以下のようなことを平気で言う人が少なくないことからも分かります。

  • 弁護士なのに社会的弱者の味方でないのか
  • 弁護士なのにルールを守らないのか
  • 弁護士のくせに品がない

 

営業活動は品がないことが武器になる場面も少なくありません。例えば、情に訴えかけたり、しつこく粘ったりです。

しかし、弁護士の立ち振舞いは先生としての品位が求められます。従って、弁護士の営業活動においては、営業活動として有効でも先生としての品位が求められるため取り得ない手段が多々存在します。

この点が弁護士の営業活動が難しい理由でもあります。

 

2.-(2)  弁護士は受け身での営業活動

 

従って、基本的には弁護士の営業活動は受け身にならざるを得ないと思います。

具体的に言うと、色々な方法により人脈開拓や認知度向上は図る必要はありますが、依頼するかは潜在顧客のペースに合わせることになると思います。

もっとも、最初の接点を作ってから継続的にアプローチをすることや、いざ依頼するときにスムーズな導線設計をすることは必要でしょう。

 

また、「仕事が欲しい」、「時間に余裕があります」とアピールすると実力があるか不安だなと思われるので、「合わない仕事は断ります」ぐらいの姿勢で待つ方が良いかもしれません。

 

3.  理由③:弁護士は高額サービスの営業活動を行う

 

3.-(1)  弁護士のイメージ=高い

 

弁護士のイメージは意外と「お金が好き」と思われており、提供するサービスは高いと思われています。

 

例えば、「弁護士についてのあなたの「印象」「イメージ」などを聞かせて下さい。」という質問に対しては、「お金が好き」、「お金」などのスレッドが並んでおり世の中のイメージがなんとなく分かります…笑

(参考)弁護士についてのあなたの「印象」「イメージ」などを聞かせて下さい。

 

現実に、弁護士の提供するサービスは数十万円以上であり、日常生活の支出に比べると相当高額なサービスの営業活動を行う必要があります。

高額な商品・サービスの営業活動は、販売の意思決定までに時間がかかるため一般的に難しいと言われています。この点も弁護士の営業活動を難しくする理由の1つです。

 

3.-(2)  本質的な解決が難しい

 

高額サービスの営業活動を行う必要がある難しさの解決方法は正直明確な回答が思いついていません。

営業活動のプロセスを分解して各ステップのハードルを下げることなどが考えられますが、正直具体的に取り組んだことがないので分かりません。

 

もしかすると無料相談は回答の1つかもしれません。まずは無料相談でハードルを下げて、弁護士が提供するサービス(解決の見込みや方向性・方法)などを知って貰うことが考えられます。

もっとも、法律相談を無料or有料にするかは賛否両論があるので難しいところです。

 

MEMO:弁護士1年目の営業活動

若手弁護士で個人事件ができる弁護士事務所に就職した方は1年目から営業活動を頑張ろうと思われるかもしれません。

しかし、現実には1年目は事務所事件で仕事を覚える必要があり、また、営業活動をしても経験・知識不足でなかなか個人事件を開拓するのは難しいです。そもそも、弁護士の営業活動は1年程度では効果がでず、2~3年後に培った人脈から紹介案件が生まれるぐらいの長期的視点で考えた方が良いでしょう。

個人事件で手っ取り早く稼ぐなら国選事件があります。とくに企業法務系法律事務所に就職した修習同期に国選事件を回して貰うことをおすすめします。多忙な企業法務系法律事務所の若手弁護士は国選弁護士の配点がされても引受先に困っていますので、話をすると回して貰える可能性が高いでしょう。但し、弁護士1年目で刑事事件に注力することは、将来のキャリアプランを考えたときにどう影響するかは考慮した方が良いかもしれません。

 

4.  まとめ:弁護士の営業活動の難しさ

 

本記事では若手弁護士や司法修習生向けになぜ弁護士の営業活動が難しいのかを説明しました。

弁護士が営業活動を行う方法は様々な解説がありますが、そもそも何故弁護士の営業活動が難しいのかを考えることも有意義だと思います。

 

また、本記事では、弁護士の営業活動が難しい理由についてとくに重要・本質的と思われる点のみを指摘しましたが、指摘した以外にも弁護士の営業活動が難しい理由は様々なものがあります。

 

営業活動に興味がある若手弁護士・司法修習生の皆さんは、営業活動の方法はもちろんのこと、なぜ営業活動が難しいかをゆっくり考えてみるのも良いかもしれません。